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ヒストリーチャンネル 世界の酒

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アイルランド
世界中で愛されている酒
 ギネスビール

世界で最も美味しい香り
ギネスビールを、パブで飲む
妻のブリジットとは半年前に結婚したばかり
アイリッシュパブになくてはならないのが、ギネスビール
辛抱強さ
貯蔵庫内の温度は7~9度
客に提供されるときは3~4度
 ギネスビールは焙煎された大麦で作られているので黒いのが特徴



モンゴル
首都ウランバートルから北へ50キロ
遊牧民が暮らす大草原が広がる
モンゴルで最もよく飲まれている酒は、馬の乳を発酵させて作る馬乳酒
アルコールは2%程度
モンゴルでは子供から大人まで飲料水がわりに場入手を飲ん
 馬乳酒造りの名人
飼っている家畜はヤギや牛など、500頭を超える

妻と二人暮らし 4人の子供は皆、成人して都会で暮らしているため周りの子供に家畜の世話を手伝ってもらって
遊牧民は、それぞれの家庭で酒を作り、それぞれの味を持っている
この牛の袋で 馬乳酒は作られ
よく発酵してのみごろだよ
 泡が弾ける音は、発酵が進んでいる証
馬乳酒は前の晩に仕込んで、昼前に出来上がる 

飲み方には作法があるんだよ
杯を出されたら右手か両手で受け取る
飲み干しちゃダメだ、

自家製の馬乳酒にはそれぞれの家の幸せが混ざっており

かなり酸っぱいけど、さわやか」
馬が食べる草によって、馬乳酒の味が決まってくるんだよ




ギリシャ
エーゲ海の東、トルコ園街に位置するレスポス島
人口およそ10万人がクラスこの島は、ギリシャを代表する酒、ウーゾの名池
ウーゾはアルコール度数40度を超える蒸留酒
通常、ロックか水割りにして飲む
水を注ぐと乳白色に染まるのが特徴
19世紀に、この島で誕生したウーゾは、島の人々の誇り
ミルクみたい

8:00am
ウーゾの工場で働く人・・・
朝は決まって、向かいの両親の家でコーヒーを飲む
少しミルクを入れよう   うまい!
朝はいつもシャワーを浴びてコーヒーを飲むだけだよ

両親はレストランを経営
料理は全部手造り
野菜も自家製
仕事に行ってくるよ ハハハ

1860年創業のバルバヤンニ、レスボス島では最も古くからウーゾ作りをしている
瓶詰め行程の責任者を勤めている

機械のメンテナンスも、彼の仕事だ
生まれ育ったこの地でずっと働きたかった
この島で仕事を探すのは、とても難しいことだから、ここで働けるようになったのはとても幸せ


1:00pm
ギリシャ、ウーゾの工場で働くグレゴーリの昼休み
食堂でまず注文したのはウーゾ
この島の男たちは、昼食時にも決まってウーゾを飲む
ウーゾを飲む時は、必ずメゼと呼ばれる小魚料理と共に食べる
この島のオリーブオイルで作ったチーズ

これは干して焼いたタコ

やっぱり海の食材が一番だよ
ウーゾにはタコや魚が合う
ちょっと塩辛いくらいがつまみにはちょうどいい

乾杯!
割と爽やか
飲み口は思ってたよりも軽く入る
飲みやすい
でも、かなり強い酒だから摘みを食べながらゆっくり食べる
 早いよ、もっとゆっくり
この塩漬けの肉はうまいけど、ちょっと難点が
コレステロールが高くなる
血圧が上がるから飲むなって慰謝は言うんだけど

綺麗な海と風が
この島の気候にこんなに合う酒はないね
いつだって陽気になれ、友達の輪が広がっていく
こうして毎日ゆっくり昼を過ごし、午後の仕事に戻る

ウーゾの主原料は、ワインを絞る時に出るぶどうの搾りかすを蒸留したアルコール 96度
ギリシャ国内のワイン産地から仕入れている
それに加えるのがレスボス島で栽培されるアニスの果実
肉料理の香辛料などに使われるアニスを加えることでウーゾ独特の甘い香りが生まれる


2:30pm
午後、グリゴーりたちが工場のそばの海岸に作業に出た
ウーゾ作りに欠かせないアニスだが、このメーカーでは海水につけるという独自の方法をとっている
苦味が取れて甘味が湧き出てくる
風味を付けるために!

引き上げたアニスは、すぐに蒸留器の中へ
そこに、アルコールを駐留し蒸留する
この島の新鮮な井戸水でアルコールを蒸留
たんくで40日間寝かせウーゾの完成



モンゴル
10:30 am


モンゴルの遊牧民、放牧している馬を集め、一頭一頭の馬に轡をつけるのは乳搾りの作業のため
馬乳を絞れるのは、馬が出産を終えた夏の時期だけ。
馬乳酒は夏の時期だけの飲み物
白い液体

昼食は、ヤギの内蔵の煮込み
遊牧民たちの普段の食事
彼らは野菜不足を馬乳酒を飲むことで補う

グツグツと煮えてる・・・

5:00pm
夕方から、馬入酒作りの本番
袋に馬入酒を少しだけ残しあとは取り出す。
そして、今日絞ったばかりの馬乳を入れる。
ここから、大仕事が待っている。
発行を促すため、棒を使って何度も何度も掻き混ぜるのだ。

上から下に向かって円を描くようにかき混ぜるのがコツさ
毎晩、この作業を3時間以上行う(数千回)


7:00pm
住まいに、ウランバートルから客が訪ねて来た。
お目当ては、彼が作る馬入酒だ。

お祭り

口に残る味
馬乳酒をかき混ぜるのがマナー

歌いだす・・・・・・・・





ギリシャ
6:00pm
夕方、ウリゴーリは工場の仕事からもどると、毎日、両親の店を手伝う。
工場で働く友人たちがウーゾを飲みにやってきた。

ズッキーニの細切れとイタリアンパセリ
夜は友人と共に歌い合い、ダンスをし、
相変わらず酒ばかり飲んでいるとからかう、ウーゾウーゾ舞にt
ほんのちょっとでいいから赤ワインを飲ませてくれないか



いいですよね、お酒って。体も心もリラックスさせてくれる感じで、
馬乳酒、酸っぱい、ヨーグルトのようなチーズのようなそんな香りがして、
あれを浴びるように飲んでかと思うと・・・・・・

でも、旅したいですね、現地の人達とお酒を酌み交わしたいなぁなんて



THE END







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ヒストリーチャンネル 古代の恐ろしい治療法 χ

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数千年の間、謎に包まれてきた古代医学
身の毛もよだつ 痛みを和らげるという魚の電気ショック
頭部に特殊な傷を負った驚きの医療器具
古代の恐ろしい治療法
出血、その言葉は犠牲者の惨たらしい
瀉血と呼ばれる 神の如く崇められた 血液を 手術道具
体にヒルを載せて ヒルを使った治療法
小さな試験管に羊の肉を入れて 血を吸ったヒルの体 小型の吸血動物
ふくらはぎに 人間の血をすって それぞれ125本ずつ生えている昼のは 血液の凝固作用を阻止しようとする
50mm程度の血を吸って満腹になると落ちる
血を吸うたびに伸び縮みする 動脈から新鮮な血液が送られる
血液の供給が阻止されると体は壊死してしまう
古代の人々は 毒蛇を使う治療法 蛇にまつわる謎めいた古代信仰の聖地
紀元前300年頃、不思議な、癒しの力を持つという神殿が神の子、 アスクレピオスに捧げられた
ギリシャにあるエピダウロスのアスクレピオスの癒しのシンボルは、蛇だ
蛇が死者を蘇らせる薬草を持ってきたというアスクレピオスの神話から 一匹の蛇が巻き付いた杖のシンボルが生まれた
死者さえよみがえるという、アスクレピオスの蛇の薬
2300年の間、単なる伝説と思われてきたが
蛇の異薬を作りには、毒を搾り取らなければならない
毒を採取 北アフリカ原産のツノクサリヘビは、一度に大人ふたりを殺すほどの毒を出す
もしこの蛇に噛まれたら、20分から30分で危篤状態に陥るでしょう
古代の蛇使いと同じ手法で毒を採取する
取り押さえたあと、蛇の上あごをビーカーの淵に押し付けて搾り毒をビーカーに集めるのだ
蛇の薬に特定の効能があることは近年の研究でも認められている
神経属はアルツハイマーや記憶喪失の治療薬となり、出血属は心臓病や高血圧に効くという
蛇属のタンパク質
医学の進歩に貢献してくれる
古文書によると、アスクレピオスの患者たちは髪の毛が蛇でできたゴルゴンの薬を飲むことで治癒力を高めたという
魚の発する電気ショックさえ、不思議な癒しの力に変えていた
歴史が始まって以来、 人類は痛みを思いのままに操ろうとしてきた
想像を絶する古代の拷問具から、痛みを消し去る魔法の軟膏まで

人類は昔から痛みと戦ってきた。
古代ローマ、ギリシャ、エジプト、もっと昔の人達もそうだろう
我々は痛み止めと聞けば、アスピリンやモルヒネを想像する
だが、西暦100年頃のローマ人は、全く違う方法を見つけていた
謎の鍵を握るのは、海底に棲む恐ろしい生物、
ローマの歴史家、プルタルコスの記録によれば、なんと電気を発する魚シビレエイを使った痛み止めの方法があったという

古代ローマの文書には、足と関節の激しい痛みに苦しむ患者が海岸に連れ出される様子が描かれている
波打ち際で患者の足を直接シビレエイの上に乗せて待つ
すると、激しい痛みが次第に和らぎ、ついには消えてしまう

当時の記録によると、シビレエイは胃痙攣から梅毒まであらゆる種類の痛みを和らげたという
効果は認められているものの、メカニズムについては何も知られていなかった
危険な生物が放つ電撃が、なぜ痛みに効くのだろう
スペインのア・コルイネにあるフィスステレ水族館で、シビレエイを使った初の検証を行うことにした
海洋科学者のミゲレスは、この魚の恐ろしい電気ショックに秘められた、癒しの力に長いこと関心を寄せてきた

この魚は何世紀もの間謎だった
普段は海底の砂地に身を隠して人の目から身を逃れているのだ
シビレエイの放電は、基本的に身を守るためのものだが、獲物を仕留めるために使われることもある
その時は、獲物の魚に向けて電撃を放ち、麻痺させてから丸呑みにするのだ
シビレエイの謎を解き明かすため、電撃の強さを最先端の科学技術を用いて計測してみよう

実験室

シビレエイの効力が見出された、ローマ時代からおよそ2000年
現代の科学によって、その電気量が明らかになろうとしている
電気を出す器官は二つ
それぞれ1000個を超える細胞から出来た体内の発電所だ
相手を攻撃するときは、脳からこの細胞に信号が送られ電気が作られる

一つの細胞が作る電気がほんのわずかだが、多くの細胞が一斉に発電すれば非常に強い電撃を放つことができる
それこそが、海のスタンガンと呼ばれる所以だ

オシロスコープを使って実験
シビレエイの電撃は20ボルト
古代のローマ人は麻酔にシビレエイを

2千年前にプルタルコスが書き記した驚くべき痛み止めの方法
その有効性を検証
命知らずな古代の治療法
痛みの限界を確かめる

痛みのメッセージを脳へと運ぶ神経伝達物質が、秒速90mを超える速さで神経系統を駆け抜ける
デビットの脳は、水ぶくれができる火傷と、同じくらいの痛みのシグナルを受け取っているはずだ
逃れようのない、強烈な痛み
こんな痛みがずっと続いたら耐えられないだろう
どんな人でも、これほど強烈な痛みから解放されるためなら、あらゆることを試してみるのだろう

シビレエイ、この魚が発する電気は痛みのメッセージを脳に届ける神経インパルスの邪魔をする
結果、痛みは和らぐと考えられるのだ

電気刺激
電気で麻痺した

脊髄には、脳に送られる痛みの分量を調節するゲートがある
私たちは電気を使って神経を刺激することでこのゲートを閉じ、痛みの通過を遮断しようとしているのだ
つまり、指先から脳に伝わる痛みの分量を減らす
指先から信号が出ても脳に届かなければ痛みは感じない
この電機療法理論

痛みを感じなくなる
古代ローマの不思議な治療法

古代のローマ人は、脊髄のゲートや痛みを緩和するための神経刺激などについてはなにもしらなかった
でも、シビレエイの発する電気が痛みを和らげる

インカ帝国の治療法
人間の頭蓋骨に穴を開けていた
ペルーのクスコ近郊、アンデス山脈の高地で、500体を越えるインカ時代の人骨が見つかった
その半数以上に、致命傷らしき陰惨な傷跡が残されている
直径7センチを超える頭蓋骨の丸い穴
戦闘で負った傷にしては、あまりにも正確だ
それは、身の毛もよだつ治療の痕跡
謎めいたインカ文明
外の世界から隔絶した場所で、独自に発展したためにインカの謎が生まれた
人々は他の文明との関わりを持たず、文字も使わなかった
頭蓋骨が見つかった聖なる谷と呼ばれる地域には壮大な都市遺跡、マチュピチュがある
ここは西暦1450年ごろ、海抜およそ2400mの高地に作られた。
切り立った崖に囲まれ、厚い雲に覆われたこの街は、南北に広がる広大な地域に1000万にが暮らしたインカ文明の、秘密の要塞であった
だが人々は、100年ほどここに暮らしたあと、頭蓋骨の謎を残して時の狭間に消えてしまう
近年になって、この謎に迫る法医学的証拠が浮かび上がった
これらの傷を負った人々は、その後も生きていた形跡があるのだ

発掘された頭蓋骨を調べてみたところ、傷を負った部分が回復を始めていたケースが多く見つかった
インカの戦争では主に棍棒のような武器が使われた
これらは、頭蓋骨骨折などを負わせる重要な原因となる

頭蓋骨の損傷、特に陥没骨折の場合、骨が脳の内部へと
入り込んでしまう
この場合、手組みを元に戻すか、破片を摘出しなければならない
頭蓋骨という閉じられた箱の中で出血が起きてしまうと内部が死んでしまう

しかし、インカの外科医はあるショッキングな解決法を思いついた
彼らは極めて洗練された技術を思いついた、脳外科手術だ
手術では、頭蓋骨の一部を切開する。
陥没した部分を取り除くことで、中の脳にかかった圧力を解消するのだ

手術の成功率を調べると・・・この原始的な脳外科手術を施されたあとも、8割のインカ人が生存していた

インカ時代の道具を用いて脳外科手術を行う
まずは髪の毛を削ぎ落として、それから切開
実験では、インカの外科医と同じ道具を使用する
黒曜石で作られた刃物は、スチール製のメスより5倍も鋭い。


とはいえ、インカの患者は麻酔なしで手術を受けるのだ

苦痛を与えると分かっているのだから緊張するはず
しかし、気は確かに持って患者の叫び声を聞いてもためらってはいけない
これは患者のためにしているのだと肝に銘じて手の震えを抑えるのだ
患者の意識がはっきりしていることを除けば、あとは普通の手術と変わらない
黒曜石のメスはすんなりと頭蓋骨を貫通
とても鋭利な刃物だ

頭蓋骨に穴があくまでにかかった時間は、わずか30分。
もちろん手術を受ける当人には長いものだろう
激しい痛みの信号を脳に送らないようにするため、頭部にあるいくつかの神経を切断した
頭蓋骨の下には、硬膜と呼ばれる薄い膜が有り、多くの血管が埋め込まれている
脳を守る最後の層だが、木綿のシャツほどの強さしかない
頭蓋骨を開けたら、硬膜を傷つけないよう細心の注意を払う
傷つければ、対処できないほどの大出血が起こるばかりか、脳の組織も傷つけてしまう
そもそもこの手術の原因である圧力が、この脳の内側にかかっているわけだ
こうな状況で硬膜に傷がつけば、圧迫された脳組織が、練り歯磨きのように飛び出す可能性がある
患者も数秒で死に至るだろう
見たところ、手術は順調に進んでいるようだ
皮膚を蓋のようにめくってある
骨を覆う膜と、頭蓋骨を切り出した
穴の奥に見えているのが、硬膜だ
患者の死因のほとんどは、手術そのものではない。術後の感染症によって命を落とすのだ!!
だが手術を受けたインカ人の8割は生き延びた
頭蓋骨の穴が再びふさがり皮膚が治れば、跡には小さなくぼみしか残らない



ほぼ同時代、イングランドでは1人の鍛冶職人が医学の歴史を塗り替え用としていた
男がハンマーを手に挑んだのは、頭部に打ち込まれていた矢の摘出手術
患者は、中世ヨーロッパにおいて強大な権力を担う皇太子であった

医学の進歩が試される一番の舞台は、戦場だ
近代でも、外科処置の技術を持つ人々が、ベトナムやイラクの戦場に派遣されている
彼らの起源は、2000年ほど前のローマ帝国
軍備の拡大が進むローマでは、軍医という仕事が生まれた
戦場における医学の専門家
従軍医師
自分の軍隊に質の高い医療チームを配備することの必要性を説いた皇帝アウグストゥスの影響だ

ローマ従軍博物館には、西暦113年に作られたトラヤヌスの円柱から型取りをした興味深いリリーフを見ることができる。
それは、前線で働く郡いたちの姿だ
包帯を巻き添え木を当て応急処置を施している
彼らは、現代の衛生兵と同じような道具や技術を使って

技術は進歩したが外科処置や手術の検索は昔からあまり変わっていない
従軍医師は血を止める方法や緊急の切断手術の必要性について関心を持っているはず
皮膚や筋肉、腱などを切断する道具は、メスが使われたことだろう
骨を切るためにはノコギリが必要だったはず
ノコギリは現代の切断手術でもよく使用される

古代ローマのキルススが残した著には、当時すでにメスやフックや鉗子(かんし)が使われていたことが明確に記されている。
なんとこれらの道具は、今も手術で使用されているのだ
現代の外科医も、かつてケルススが勧めた通りに、傷口を清潔にして縫い合わせる
過去の歴史に学ばない外科医は、愚かとしか言い様がない
例えば鉗子(かんし)などは、ローマ時代から現代まで同じものが使われている
素材やデザインは進化したかもしれないが、鉗子(かんし)そのものの用途と、この道具の血流を止めるメカニズムは、時代を超えて全く変わっていないのだ

ケルススが述べた、炎症の4つの特徴というのは、赤み、発熱、痛み、腫れを言い、今では全ての外科医が知っている。
現代の手術室にも、ローマの軍医達が磨き上げた技が生かされている。

だが、いつの時代も、戦場におけるサバイバルは本人の地位や影響力と無関係ではない。
傷付いた将軍や司令官、王や皇帝を救う必要に駆られ、医学は驚くべき進歩を遂げたのだ。
西暦1403年、イングランドの皇太子、後のヘンリー5世は、4000の軍勢とともに反乱の鎮圧に向かう。
シュルーズベリーの戦いだ。
しかし16歳の皇太子の顔はその日のうちに変わり果ててしまった。
「王の軍隊が前進すると、丘の上にいた兵士達が矢の雨を降らせてきた。こうした戦闘を経験したことのある人間はみな飛んでくるおびただしい数の矢によって空が文字通り暗くなると書き記している。甲冑を着こんだ騎士にとっては息をするのも大変な状況。そこでよろめきながら丘を登り、兜の面をあげたとすると、急に顔の部分だけが敵の矢に対して無防備になってしまう。ヘンリー5世はまさにこの状態にあった。」
 
1本の矢が皇太子の左目の下に突き刺さった。
頭蓋骨の内部の15cm以上もめり込むという命に関わる傷。
  Barker「ヘンリー5世はShrewsburyの戦線を離れなかった。顔面に忌々しい矢が突き刺さったまま戦い続けた。」
  Sabin「突き刺さったのはポドキンと呼ばれる甲冑を貫くための矢。外科手術のようにあらゆる組織を通って打ち込まれている。神経もダメージを受けたことだろう。目のすぐ下にある神経は頬の感覚をつかさどる。ここが傷つけば頬に麻痺が残ったはず。矢は上顎洞という空洞がある骨の薄いところを貫いたと思われる。そして鼻を突きぬけ下あごの手前で止まったようだ。頚動脈にもかなり接近していた。」
  Sabin「顔の骨格を消せば矢の通った道がよく見える。即死の危険性がある組織にどれほど近かったかが分る。脳から血液を排出する頚静脈や脳や表情筋に血液を送る頚動脈、それだけでなく脊髄や脳幹にも迫っていた。その組織も損傷を受ければただちにしに至る。」
  皇太子はイングランド中部のKenilworth城に運ばれた。その廃墟は今もひっそりと残る。お供の者がそっと矢を抜こうとするが大失敗、矢が折れてしまった。今やポドキンの矢尻だけがおよそ15cmの深さに残されている。どう取り出せばよいのか、国内にその技術を持つ者はいるだろうか。
  

600年前の皇太子は高熱を出し、脈拍も120を超えていたことだろう。
一刻も早く矢を抜かねばならない。
しかしまずは矢尻の位置を特定することが重要。
Sabin「矢尻を抜くと激しい出血があるかもしれない。
頚動脈を強く押さえる助手が必要。
止血用の綿やカンシもいる。
ネジを回し摘出機の先を広げて固定したら矢尻を前後にゆすってめり込んだ骨からはずす。
そしてゆっくりと引き抜く。出てきた。」
バーチャル手術は見事成功し、皇太子の命は助けられた。
Bradmoreは外科医として成功し、死ぬまで金貨10枚の年金を受け取ったという。
古代の人々は痛みや傷、人体の構造に関して想像以上に進歩した知識を持っていたということが分かった
気味の悪いヒルや毒蛇やシビレエイなどを使った治療は、原始的ではなく時代を先取りした方法だったのだ。
我々の命を守る現代の医学は、古の時代から医療に携わってきた先人たちの努力の上に成り立っているのである。


ヒストリーチャンネル 東洋医学 中国編 前編

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中国陝西省漢陽の


脳性小児麻痺を患って
動きもぎこちない
驚異的な回復

イーロンは一切の時に黄疸によって重度の脳性小児麻痺になった
もう立って歩くことはできない砥石に診断された

手は捻れて、目は上の方を見つめているだけ
立てません
劣等感から、

歩くことも座ることもままならなかった

鍼治療(はりちりょう)を受けてから、一週間もしないうちにしっかり立って歩けるように
 
3000年の間、受け継がれてきた中国医学の大黒柱
 古来より、鍼、経絡、漢方薬を用いて奇跡の効果を上げ
賢人たちの遺産

古代の名医
奇跡の治療や治療法

その評判のとおり、
 第一人民医院の第二問診部を訪ねて
質素な 

脳性小児麻痺 見事な回復
 鍼治療の第一人者

彼の手によって披露される妙技

治療法は、一見すると 常軌を逸しているように見えるが、よく観察すれば並外れたスピードと
驚異的な手さばき 
この男性は、5か月前に脳卒中で右半身麻痺になった
脳卒中患者の治療は瀉血から始まる
指先に針を刺して血を出し、
気と血の巡りを改善する 
 
りん医師はすべての指に針を刺して瀉血したあと、 患者に右手を動かすように言う
すると、驚くべきことに患者は右手を上げた
 
頭痛もなくなったようだし体全体痛みが引いたよう

 温熱効果を利用した鍼治療と、それから近年の研究で判明した脳の活用法、
これらを組み合わせた治療を行う
 現代医療的に言うと、まず血液の循環をスムーズにする 

その結果、脳が休止状態の細胞や神経を生き返らせるようになる

 鍼治療を受ける、顔面神経麻痺の患者、顔面には針を通して低周波が流れている。これは、
鍼治療と西洋の針が合体した電気針です 
  熱を使った針と医療は昔から存在し、実際針を火で炙る方法もある
中国医学の考えでは、気と血の滞りは、すべての不調の原因になる
 患者の健康を回復させる治療法として、時に徹底した・・・・・・・

熱せられた針が背中に当てられる
灸といった治療の中でも、 
老廃物を取り除き血液の循環
皮膚の外に古い血や老廃物が吸い出されてくる
 慢性的で治りにくい病気
針は一定 の深さに挿入されなければならず、
 施術中、患者は「響き」と呼ばれる軽いしびれやだるさを感じることもあり
刺激の与え方は症状の状況に合わせ、慢性病や体力のない患者には浅くゆっくりと指す、
一方、即効性を求める場合や体力のある患者の場合は深く

見事な手つきで 針の深さと

神の手を持つ
麻痺や発作で体が不自由になった患者の
神業の生き証人 

健康そのものといった
話すことさえできなく

小麦粉を練る
 

北京の南西郊外に位置する小都市、周口店の竜骨山 ここは北京原人の化石人骨の出土地であり、また、鍼治療の起源が発見されたちでもある
2万年前のものであると考えられる、上洞人の頭蓋骨とその頭蓋骨の傍で発見された骨の鍼
つまり、この針もそれだけ古い
針とともに発見された平ないし

中国の伝説名医
扁鵲(へんじゃく)は春秋時代の民間医で司馬遷の史記列伝の中にもその名が記載されている
すべての中国医学の原点
 現代の技術は戦国時代に既に確立されていた
 
 鍼灸(しんきゅう)に関する最も体制された書物は、明の時代に書かれた鍼灸書物

経絡

針のツボや
経絡という概念

経絡に沿ったすべてのツボが

人間の体には、気というエネルギーが流れる道が縦横無尽に張り巡らされていて、それを総称した

 12脈、それに沿って365のツボが点在し、
すべての臓器や機関とつながって いる。
針はその、経絡(けいらく)とツボに沿って打たれるのだ

上海中医大学の標本室には、体の部位ごとに解剖され、針が刺された人体の標本 がある
頭の上から、足の先まで、すべての箇所に正確な針の位置と深度の説明

何の変哲もなさそうな
WHO(世界保健機関)

尿路感染症の診察科

尿路感染症に対する針のツボは、背中と腹部に集中
この女性は、以前にも同じような症状を起こし、排尿が困難になっていた
腎臓の気のエネルギーが病気を引き起こした原因となっていると判断
その臓器に関連する針を刺す
尿路感染症は西洋の医学による治癒が大変難しいとされている。
しかし、その背景とは対照的に、鍼治療の成功率は驚異的な数字
尿道炎 の治療に来る患者は、多い
共通して訴える症状としては、排尿に伴う痛み、頻尿や残尿感など
実は、現代医学ではその原因を完全には突き止めておらず、完璧な治療法が未だにない。
でも鍼治療で痛みを和らげ、排尿を楽にしてあげることはできる。
尿路感染賞に関する知識が広まっていないため、治療が遅れるケースもあるが、鍼治療はそんな
場合でも有効。
括約筋を刺激して、排尿を遅らせることができるから。

尿路感染症の鍼治療による効果は、まだ完全に解明されたわけではない。
中国医学の有効性



中国中医研究院、長城委員、ここは鍼治療と外科手術を組み合わせた針刀療法発祥の場所
この療法は難病治療のため、院長の○○が開発した。
針刀療法では、不必要な切開や麻酔を行わない。

手術道具の針先は、直径わずか0.8mm。
一見、普通の針に見えるが、実際はこちらの方が若干太く、先端も小型のメスのようになっている。

患者Aは、背骨が脊椎炎によって極度に湾曲してたけど・・・
しかし、手術の痕跡を残しているのはテーピングだけ。
最初の発症は、背骨が全く伸ばせなかった。

脊柱後弯症
怪我で歩けなくなった患者も、この治療法を使えば治療できる

肋骨のくぼみに印がつけられ
着実で熟練した手さばきが要求される。
当然、正しい施術には解剖学の知識も欠かせない。

痛みを伴わない治療
麻酔も鎮痛剤も必要ない。
浸透療法(しんとうりょうほう)
背骨が硬直して屈伸が効かなかった。


脊椎炎で、頸部(けいぶ)から腰椎(ようつい)までの軟骨(なんこつ)が降下し、
脊柱は骨盤と一体化。
座ることさえできなかった彼だが、5回の施術を終えて完治する日も間近

座ることもできない状態から、変形した背骨も真っ直ぐに





北京の街には多くの美容室が点在する。
そして、その看板の殆どに大きく”按摩(あんま)”の文字が見て取れる
北京の美容室ではたいてい按摩のサービスが有り、
料金は頭部のみの15元から、全身コースの100元まで幅広くある。

按摩を行うには、経絡(けいらく)と鍼(はり)のツボに関する知識が必要
興味深いことに、按摩師には、山東省出身者が大勢いる。
その理由は、山東省は黄河が流れる多湿な性質ゆえ、病が流行りやすく
それに対抗するため住人が気功(きこう)や指圧(しあつ)など、様々な療法を開発してきたという背景があるから。

按摩と指圧の研究
指圧・・・手で体を直し、骨を正しい位置に戻し、筋肉を和らげる効果がある。

司馬遷の史記
指圧について触れられている最古の書記
手でツボを刺激して、経絡を開く
患部をもみほぐして、血行と血の流れをよくする
指圧は痛みを伴わない

関節が硬くなっても、指圧で改善させられる

骨折や筋肉痛

皮膚の一定のポイント
体全体を揉みほぐす


天壇公園

気功は中国人の生活の一部
気功なしには中国人の生活は始まらない
人々は血の流れを円滑にするため体全体でリズムを刻む

気功
呼吸を整え

北京市民は、早朝公園に集まり、今や世界的にも有名になった気功の体操をする

気功の種類には、動功(どうこう)と静功(せいこう)があるが、
静功は静かな動きで呼吸を整え心身ともにリラックスする。
気功には、1000以上のものがあるが、そのどれも、太極拳のものとは異なる。」
太極拳の動きと気功の動きとを組み合わせて作られたのが太極気功。

公園の中には、自発功(じはつこう)という気功をしながら瞑想状態に入る人もいる。
気の流れに逆らわず同調すると、自然に体が動くのだ。
奇妙な行動
気功の達人は、頭から樹木の良い気を吸収



紀元前168年
気功に対する最高の活字資料は、戦国時代
呼吸の鍛錬法が説明されている

数々の気功のポーズが細かく描写されている
武術を思わせるようなダイナミックなポーズから、立ったり座ったり、または横になったり

上半身と下半身の間の気の滞りは、病気や下半身のさらなる気の欠如を引き起こす要因となる


気の流れは人間の目には見えない
暖かい空気がかかとの周りを流れていくよう
腰の周りがひらく感覚もあった。

気功療法
指圧
科学的説明がないからといって、気功が間違っているわけではない。

伝統中国医学 - Wikipedia







THE END

ヒストリーチャンネル 東洋医学 イスラム編

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ヨーロッパとアジアの交差点、西洋と東洋が入り混じる国、トルコ
その対岸にある古代文明の国、エジプト
イスラムの国には古に生まれた医学がある
それは、古代文明のエッセンスであり、現代医学のルーツだ
イスラム医学の基本は薬草を使った自然治療
人々は古来より伝わるその治療法を使い、現代医学では治癒が困難な様々な病気に打ち勝ってきた
今日は、イスラム伝統医学の神秘の世界を訪ね、その謎に迫ってみよう
イスラム医学は、古代エジプト文明、メソポタミア文明に原点を置く歴史あるものだ
紀元前16世紀のエジプトの医学書には、葦の紙に、800の処方箋と700の治療薬が象形文字で記されている
また、トルコ周辺で出土した粘土板には、4000年前の自然治療の様子が示されている。


歴史が始まって以来、人間はずっと、病気を克服する術を模索してきたが、その中で薬草を使った自然療法を見つけた
エジプト・インカ・インダス・中国すべての文明に薬草療法が行われていた証拠がある
7世紀になると、東ローマ帝国とササン朝ペルシャを繋ぐ貿易路の中継点だったアラビア半島のメッカで
イスラム教のメッカが誕生
そこで発展したイスラム医学は15世紀に頂点を極め、現代医学の始まりを記した。

古代文明の知恵はギリシャ、そしてイスラムの国々へと伝えられ、オスマン帝国が勢力を伸ばし始めた
13世紀頃までに、幅広い薬草療法が浸透

イスラムの国々は、科学と哲学の分野において、ヨーロッパを大きく引き離す進化を遂げ、
医学の分野でも多大な影響力を発揮
薬草治療は、現代薬理学と臨床病理学の先駆者になった。

ヨーロッパ近隣諸国における薬草研究の始祖と言えるのは、アビセンナ
薬草医学について書かれた彼の医学書は、未だにその分野において主要な教材となっている

イスラム医学は医学者アビセンナによって、科学的に具体化された
彼が書いた医学典範は、その時代の医学知識の対応で欧州では17世紀頃まで医学生の必須の教科書だった
彼は、癌や髄膜炎、精神治療薬の研究をし、結核の伝染性を特定
皮膚病の水銀軟膏を開発、アルコールの消毒剤としての利用を初めて提言した

アビセンナは、別名イブン・シーナという11世紀に活躍した医学者
それから、薬用植物習性を書いたイブン・アルバイタール、彼も名医だった
そして、人間の毛細血管を初めて確認したイブン・ナビー
みんな医学の先駆者たちだ

薬草医学が基盤のイスラム国でも外科手術は存在した
外科医は、麻酔薬としてアヘンを使い、数々の手術を行った
しかし、薬草療法が驚くほど高度なレベルに達したのに対し、
イスラムの法律が、死体解剖を違法としたために解剖学の分野での大きな発展はなかった
人間解剖学に基づく治療を拒絶するイスラムの人々にとって、薬草医学は必要不可欠な手段だった
今日のイスラム国は、東と西、旧と新、過去と現在が混ざり合い万華鏡の様相
伝統医学の知識も、現代医学に取り込まれた
それでも、治療に薬草を用いるとき、そこには未だに、独特な伝統が見られる
イスラム文化は、薬草の豊富な知識で知られているが、一般の人々も日常的に薬草を使う
街に並ぶ無数の薬局が毎日の生活での薬草の重要性を証明している
それは、地元のスーパーマーケットや食料品店でも確認される
食料と薬草は同じ扱いで、唯一の違いは、材料の成分による健康上の効果だろう
したがって、これらの薬草は治療薬として使われるだけでなく、料理の調味料やスパイスとしても使い道がある。
商品棚に並ぶ品物には、甘草(カンゾウ)、ペパーミント、シナモンなどの見慣れたスパイスも始めて目にするものもある。

トルコに一般家庭の夕食風景は・・・
トルコ料理は、世界の三大料理と言われる伝統料理だが、ごく一般の家庭でも薬草が頻繁に料理に使われる。
食べ物を薬として摂取する習慣なのだ

これはミント、それからこれはレッドペッパーと塩。
とても辛い
こっちはソフラン、タイム・・・口の中やお腹の悪い菌を退治する
それから、これをミントティーにしてレモンと一緒に飲むと、胃が痛い時やもたれているときスッキリしていい

これらの多種多様なスパイスは、料理に味や香りを加えるだけでなく多くの病気を予防する手段にもなる

トルコ南部、マルマリスの港で土産物店を経営する○○氏、
彼は長年、心臓病を患ってきて2回の手術を受けたにもかかわらず、何度も心臓発作に襲われていた
でも今は、裏庭のアボカドのおかげで健康
サラダの材料としか考えられていなかったメキシコ原産の果物は、カイヤシの発見で、薬の効果を認められた。

まだ熟れてない実をもいで、数週間寝かせてから果肉と葉っぱの両方を食べる
種は取るが。
アボカドは、心臓病や消化不良に実によく聞く

取ったアボカドは、紙に包んで15日間放置し果肉を柔らかくする
それから種を取り、果肉を潰し、蜂蜜やガーリックを混ぜて食べる。

アボカドは、チアミン、リボフラビン、ビタミンAを含む、栄養豊富な果物だ。
腎臓結石で苦しむ隣人の○○氏にも

アボカドの葉で治る・・・
その葉っぱを煎じたお茶を飲むと驚く程に石が次第にけていった
艶のある、青い葉っぱを取ってきてそれを煎じるだけ
葉っぱを何枚か小さく丸めて筒状にしてカップに入れ熱いお湯を入れる
お湯の中に、葉っぱの成分が十分に染み出している。
砂糖は入れてはいけない
薬草療法は、いつのまにかイスラムの日常で確固たる地位を築いていた



人口のほとんどがイスラム教徒であるトルコの前身は、無敵のオスマン帝国。
帝国は、西アジアから北アフリカ、東ヨーロッパを征服し一帯にその文化を根付かせた
イスタンブールのグランドバザールは、カパルチャッシュ、屋根付き市場と呼ばれる
500年の歴史を持つ巨大マーケット
そこには、20の出入口と4000の店が連なる
市場は、売られている商品によって幾つかの区画に分かれている
そのひとつのムスルチャルシュ エジプシャンバザール
その名前は、エジプトがオスマン帝国の支配下にあった時代に由来し、昔は
無数に薬局が並びトルコ国内や世界から集められた薬草やスパイスが庶民のために売られている

今は、観光客の呼び物としての色が強くなってしまったが、巨大マーケットと大量の薬草は
過去の栄華の紛れもない証だ。
薬草療法や民間療法を医学の主流から退かせた西洋医学も、今も人々に必要とされる
伝統医学の歩みを止めることはできなかった
以前は、薬局の店員がその場で調合していたが、彼らの薬剤師としての務めは終わりを告げた
政府が、薬局での薬の処方と調合を禁止したから
禁止令は、科学的確証や正式な免許なしに薬を調合する問題を是正するためのものだったが
それは薬剤師たちの仕事に制約を加え、薬草や民間療法の利用を減らす結果をもたらした

現代の化学療法は無視するには大きすぎる副作用がある




イスラム世界のもう一つの代表、エジプト。
その首都カイロにある四大マーケットの一つ、アタバ市場
その中にひしめく、20店の薬局は、それぞれが独自の専門分野を持っている
エジプトでは、客のために自ら薬草を処方・調合することが可能なのだ
アカデミック薬局は創業180年、親から子へと受け継がれ、現在は2店舗を構えるまでに
店内には、世界中の治療薬が所狭しと置かれている
薬草の調合は、先人の試行錯誤、つまり、認証実験を何度も繰り返して得た知識に基づいて行われる
その知識は国中に広く普及され、そして伝統になったのだ
腎臓の薬の調合は店主の十八番で、その手法は観察に値する
そこには、韓国や中国と同じ原材料も見られる
どの医学辞典にも載っていないような原材料もある
また、東アジアでは薬草と考えられていないセントウリ、セロリの種子や利尿薬や消化薬として有名な
パセリやニンジンの種もある。
大抵は、乾燥した原材料を混ぜ合わせ、すり潰して粉末にする
粉末は、水で飲むかお茶にするか、ハチミツと混ぜて内服する

1日3回、朝と昼、そして夜、三週間続ければ、腎臓が元気になる
相手の症状に合わせ、また料金によって、同じ病気の処方薬にほかの薬草を追加することもできる
例えば、ハッピーライフミックスと名付けられた強壮剤は、通常、10種類の材料で作られるが、
場合によって40種類まで増やすことができる
中に入れるのは便秘薬のトコン、消化不良に作用する白胡椒、肝臓と腎臓に効くタンポポ、
新陳代謝の促進に生姜とシナモン、そして、ラディッシュの種、玉ねぎの種、ナツメグ、朝鮮人参、
そのほか諸々必要に応じて付け加える。
朝と夜一日2回

反対に、リラックスしたい時にはカルカデが効く
カルカデは、エジプト原産のハイビスカスのお茶で、乾燥させた花びらを煎じて飲むと
血糖値が下がり、精神の安定を得ることができる。

同じく、カイロの繁華街にあるハラズ薬局
糖尿病、消化器系疾患、皮膚病である感染に効くと、評判の薬局です
ここで売られている薬は、店内の製剤室で、薬剤師が調合したもの

患者はまず処方室でハラズ氏に病状を訴え、処方箋を貰う
そして店頭へ戻り、処方箋に沿って調合された薬をもらって代金を払う
薬草に含まれる何種類もの成分は、目的以上の作用を引き出す
他の病状に使う薬草を加えることで、相乗効果を生み、幅広い効能が実現
ハラズ薬局は、新しい治療法の開発に熱心で最近は癌の治療役の研究にも取り組んでいる
感染の治療薬も、彼らの研究によって完成した。
感染は、高温の地域に多い皮膚病で、世界中に大勢の患者がいるが現代の医学では完治が難しい病気

これは、アタマンタという名前の薬
父が開発したものだが、感染のような皮膚病にかなりの効能

例えば、皮膚の新陳代謝の速度に突然変異が起こり、色素異常をきたす病気については
この治療薬は、皮膚組織の色素細胞を再活性化させて回復を助ける

ハラズ薬局は、彼の祖父アハメットが1885年に創業

この植物の名前の一覧は、アラビア語のアルファベットの一覧順に書かれている
祖父の手書きだ
息子たちへと受け継がれる知識、良き師と教え子の絆でエジプトの薬局は歴史を繋ぐ



エジプトは、アフリカ大陸北東に位置する砂漠の中の国
しかし、この国は自然の奇跡と数々のオアシスに恵まれている
ここはカイロの南西、ファイヨーン
この町で売られている薬草は、国内の荒地やオアシス周辺、
ナイル川岸辺に生えるエジプト原産の植物で、薬局が栽培者に種を売り、収穫物を買い取ったもの

エジプトの薬草は、2100以上の種類が知られているが、今も次々に新種が誕生している
先人たちも、そうして試行錯誤を繰り返し、薬草の効果を強化してきた
収穫した作物は、薬局に売られる前に木箱の中で乾燥させられる。

鎮痛薬、抗炎症薬として知られるカモミールは、エジプトで最も有名な薬草
一方、トルコの小アジアと呼ばれる地域には3000種以上の薬草が分散
品種の多さの理由は、イスラムの社会と同じく
結果として、その地域では実に多様な薬草が生まれた

トルコ、黒海沿岸地域のバルトゥンに、地元の薬草で治療を施す女性の民間医がいる
20年の経験を持つハワ・ウィーナルは、ニガウリから消化器系の治療に使う薬を作る
ニガウリはゴーヤとも呼ばれるアジア原産の食用植物
これを収穫から3ヶ月かけて柔らかくさせ、ペースト状に潰したものに防腐剤として少量のオリーブオイルを加え
それを瓶に詰めれば薬の完成
彼女の薬は、トルコ中で売られている

カンタロンという薬草
呼吸器系の病気に効く薬草として昔から知られてきた。
気管支炎の患者によくこれを使っている。
胃の痛みや頭痛にも効果がある。
ウールーは心臓病に抜群の効果
患者には普通、乾燥させた葉っぱにお湯を注いでお茶として飲む方法が勧められている。
それとこっちはクールといって、関節リュウマチの痛みを和らげる作用がある薬草
この薬を飲んでも副作用は一切ない。自然の生薬はとても安全なんだ。
そして、サルジャフラクは、蓄膿症のような鼻の感染症に使う。
これをパパイヤとアダジャイと一緒に煮て、その蒸気を吸い込む。
すると鼻がスッキリとおるようになる。
その場ですぐに効果が現れる

自然療法

慢性的な頭痛、腎臓疾患、発熱を伴うリューマチ、胃潰瘍、喘息(ぜんそく)、気管支炎、腸の感染症、
このような病気を、彼女は薬草を煎じた独自の治療薬を使って改善

それに応じた薬を処方(頭痛・気管支炎・・)
昔、病気を患ったことがあるが、生薬を飲んだらすっかりよくなったから、それがきっかけで薬草に興味が湧いた。

夏には岡や野原に行って薬草を集めたり
トルコの薬草療法はあくまで伝統の域を出なかった。
ヨーロッパでも広く使われていたというのに、今までこの分野の科学的な研究は行われてこなかった

ハワ・ウィーナル婦人は、街の一角で小さな薬局を営んでいる。
法律や医学の主流から受け入れられなかった民間医療は、彼女のような人々の努力によってこれからも生き続けるだろう


多様な気候の分布する小アジアには砂漠のような地域もあり、ヘビやサソリの被害も頻発
そこで登場するのは、不運に見舞われた人を治療する民間医

治療に使う桑の葉を集め、傷や毒の状態に応じて別の薬草を探しに足を伸ばすこともある。
彼のところへは、病院で匙を投げられた人々がすっかり元気になって帰っていく。

(ハジュマジュ・イラージ)彼の治療薬は、肌に直接当てるタイプだ。
まず、殺菌作用のあるフェルマンナガトーを患部に擦り込み、それから桑の葉を当てて毒を中和
薬は3時間班ごとに付け替える
この薬草は一定の時間をかけて傷に反応し、毒を分解
でも、化学薬品のような副作用はない
そのため、皮膚がただれたりダメージを受けることはない。

蛇に噛まれた跡を治してくれる

トルコには、事実上の国民的宗教であるイスラム教とともに、ナスレッディン・ホジャ(トルコ民話の登場人物)
と呼ばれる精神的指導者が存在してきた。
ホジャは、癒しの力を備えているが、イランジシもまた、ホジャの能力を持っている。
彼は患者の名前を呟きながら故障を紙に包み祈りを唱えたあと、それを彼に飲ませる
これはその人を、ヘビやサソリから守るための儀式
アッラーの名を唱えよう


イスラムの薬草療法は、まだ自然科学の分野で正式な評価を受けていないが、状況は変わりつつある
伝統治療に対する科学的研究は次第に増え、
薬科大学でも商業利用のための薬草を栽培する試みがある
大学の研究室では臨床実験が繰り返される
薬草の安全性と毒性のバランスを見極めようとしている。
それでも、自然の治療薬の商品化はまだ初期段階

生薬配合の薬
メヤンバルのような、自然の材料から作られた薬もある。

薬草療法こそ最高の治療法
ハーブなど、3000種類ものトルコ原産の薬草がある。
自然の恵み
薬草のエキスを配合した食料品、化粧品、洗顔料など
小アジアと呼ばれるアナトリア地方
医薬品の取扱い商品は、その大半が風邪や呼吸器の疾患、消化器官のトラブルのための錠剤の薬。
製品の原材料は、甘草・シナモン・ペパーミント・殺菌効果の高いセージ・
古代エジプトの時代から重宝されてきたカモミールは、抗炎症薬・保存料・鎮痛剤に最適。

薬草のエキスを混ぜ合わせた液体を沸騰させてから冷やしスパイスをブレンドして固形にする。
生薬の治療は概して、効果が出るまでにある程度時間がかかる。
一方、副作用という問題はあるものの、現代の医薬品は即効性という利点がある。
その点では完全に生薬に優っていると言える。
現代の消費者は早い効果を求める傾向がある。
そんな市場での競争力を保つため、生薬には更なる研究と投資が必要。


トルコ地中海沿岸の街マルマディス、ここに住む一人の医師がある植物を使って奇跡の薬を作った
それは、夾竹桃のエキスで作った抗がん剤。
夾竹桃の効果が発見された背景は、街の健康診断だった。
免疫
夾竹桃は、トルコ南部の地中海沿岸では一般的な植物
その葉一枚から取れる12ミリグラムのエキスは、人間の免疫機能を刺激し健康な細胞の活性を促す
それが癌細胞に作用し治療効果を生むのだ

夾竹桃エキスの効能
免疫システムを活発化
エイズ、後天性免疫不全症候群の治療にも有効
投薬には内服と注射の二通りがある
このエキスは、人間自らの免疫料を使うもので、科学治療を受けている人にはあまり効かない

夾竹桃に少量含まれる、毒による副作用
彼の治療で脳腫瘍を克服した女性、輸血でエイズに感染した白血病の少女

視力を失った・・・眩暈がして、気を失って







医学の新しい幕開け
エジプトの国立研究所
設立の背景には、科学技術を工業生産や国内投資資本の運用に役立てようとする目的がある
医療研究チームは最近、エジプト原産の植物の医学的な価値と処方薬としての活用を研究
研究の基本は、植物の抽出液の分析と、健康に役立つ物質の分離
すでにその研究によって皮膚病・腎臓病・自然治療薬が開発化され商品化

エジプト原産の薬草を中心に
目的は、薬草の価値を見定めること
薬草を分析して成分の効能と安全性を確認し、その利用法を開発するのだ。
その薬草がどのような働きをするのか、どんな効果が出るのか、毒性はないのか、どの程度の安全性を保証できるのか、そして、薬草が持つ効能を最大限に引き出す方法は何か。
それを探るために研究・実験を重ねている。
薬草には、いろいろな使い道があるが、もちろんその主たるものは病気の治療
糖尿病・心臓病・皮膚病など、さまざまな治療に有効
お茶や錠剤で飲んだり、直接、患部に当てたりとカタチは様々だが、肝心なのは薬草の組み合わせ方
数種類をブレンドする場合、最大の相乗効果を出すことが大切



イスラム医学の薬草療法は、長い歴史、尊い伝統、独特の気候を持つ自然環境との密接な関係の上に成り立つ。
それは、トルコとエジプトが文明の発祥の地であり、薬草療法がイスラムの共同遺産であることを意味している。
しかし、伝統療法の知識は、かろうじで維持されている状態

幾多の国に占領支配されてきたイスラム国の歴史は激しいものだった
そのような歴史が、地域の多様性と高度な知識を生んだが、今や伝統は薄まり、ほんの小さな断片として残るのみ。
今、薬草治療を守るのはひと握りの治療者たち。
現代医療が太刀打ちできない分野に多くの効能

自然の
聖なる人類の創造主は地球上の他の創造物との平和的共存を命じたという。
そのイスラムの教えが真実なら、野草の葉の命にも意味があるのだ。
自然の不思議はまだ完全に解けてはいない。
しかし、実利主義の文化に支配される現代社会は、精神的な見解に追従することにひどく懐疑的だ。
これは、私たち人類に与えられた最後の課題だ。
今まで誰も明らかにできなかった謎に答えを見つけるのだ。


THE END

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